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BD「スウィングガールズ」 は50GBディスクです!【8/1 一部補足を追加】 [Blu-ray]

前回の記事には、本当にたくさんの方々にアクセスいただきました。
公開から4年、DVD発売からも3年が経過しているにもかかわらず、こんなに皆さんに注目していただける「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」は、本当に幸せな作品たちだなあと、あらためて我々もうれしく思った次第です。

矢口監督や、関口氏をはじめとするプロデューサー陣や、BD制作現場スタッフと、今作るべき「ウォーターボーイズ(以下、WB)」「スウィングガールズ(以下、SG)」のBlu-ray Disc(以下、BD)とはどうあるべきかを、徹底的に議論を重ねた結果、以下のような結論を我々は出すことになりました。

●ディスク容量について

結論から書きましょう。
「WB」は片面一層の25GBディスク、そして「SG」は片面二層の50GBディスクを採用いたします。

前回の記事を書いた時点では、BDのスペックについて、様々にテストを重ねていた段階でした。それぞれのタイトルの仕様を、それぞれのディスク容量の中で、果たして実現できるのか?エンコード担当スタッフたちが、25GBディスクの場合と、50GBディスクの場合で、画質・音質の転送レートをどのように設定すると、どのようなクオリティになるのかを検討してもらいました。

以下、その結果のレポートの抜粋です。
数字の羅列となりますので、ご興味ない方は読み飛ばして下さいね(笑

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【BD版「SG」のスペック】
本編収録時間:105分 特典収録時間:約4分
音声1:リニアPCM 5.1ch 音声2:ドルビーTrueHD 5.1ch
この数値をふまえて、まずは音声の転送レートについてお話ししましょう。

これらの音声の転送レートを概算で出すと・・・
◯リニアPCM 5.1ch=4.6Mbps(固定レート)
◯ドルビーTrueHD 5.1ch=8Mbps(可変、最大レート)
=2.5Mbps(可変の平均レートの概算数)

上記を計算しますと・・・
◯音声の最大転送レート 4.6+8=12.6Mbps。
◯平均転送レート 4.6+2.5=7.1Mbpsを使用することとなります。
(実作業ではもちろん誤差が発生するため、上記はあくまで概算です)

次に、映像についてです。
動きの多い少ないにかかわらず、映像転送レートが一定で送出されている、固定転送レートのBSデジタル放送や地上デジタル放送と違い、BDは可変転送レート方式を採用しています。

つまり、動きの多い画面(「WB」のシンクロで、画面一杯に水しぶきが広がるシーンや、「SG」の雪の中で電車が止まるシーンなど)にはデータ量を多めに割り当て、動きが少ない画面ではデータ量を少なく割り当てています。機械でももちろんですが、最終的には人の眼で見て判断することで、デジタル放送の映像よりも高画質な映像を実現させるわけです。

さて、映像と音声を含めたBDの最大転送レートは、38.5Mbpsという数値です。
この数値の中で、映像と音声の転送レートのデータ量のバランスを検討していくことになります。
そしてこの38.5Mbpsでエンコードできるのは、86分までとなります。

今回の「SG」をこれに当てはめますと、以下のようになります。
◯一層=21Mbps
◯二層=30Mbps

いずれも映像転送レートの平均の数値です。
10Mbpsの差が発生しますので、この差は比べるとはっきりと出ると考えられます。

ちなみにWBの場合、リニアPCM音声が2.0chという事もあり、映像転送レートが29Mbpsを出せるため、片面一層ディスクで問題ありません。

【8/1 上記についての補足です】
通りがかりさんを含め、何人かの方から、BDのビットレートの数値についてのご質問をいただきました。
ここで、ビットレートの件について、少々補足をさせていただきますね。

38.5Mbpsという数字は「SG」のスペックから換算した、映像・音声の平均値を書かせていただいております。
今回の場合、BDの最大転送レートである48Mbps(映像+音声の合計)から、音の最大転送レートである12.6Mbps(リニアPCM 5.1ch=4.6M/ドルビーTrueHD 5.1ch=8M)を引きますと、映像の最大転送レートは35Mとなります。
つまり、BDの最大転送レート48Mbpsを、今回はフルに活用している事になります。

転送レートの平均値のみで考えますと、
リニアPCM 5.1ch=4.6M/ドルビーTrueHD 5.1ch=2.5〜2.9M(予想値)となりますので、合計7.1M〜7.5M。
映像の平均転送レートは30Mとなりますので、映像+音声の転送レートは、だいたい38Mとなります。
この38Mのアベレージだと、1層に最大86分まで入れる事ができます、という意味合いでした。

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上記をまとめますと、WBは片面一層で十分にハイクオリティが実現できるわけですが、SGは片面一層と二層とでは、やはり少なくない画質差が出てしまうため、二層を採用することはできないだろうか?と、我々ディスク制作の現場サイドから、実際に制作・製造費を出す製作サイドに提案を行い、検討に入ったのが、7月16日(水)。つまり、発売情報の告知解禁日の、2日前のことでした。

では、なぜ「片面一層」と発表させていただいたのか?
実はBD版の発売告知を出した時点では、まだ「SG」にどちらのディスクを採用するか、確定していませんでした。そのため、まずは一層として告知させていただき、片面二層ディスクの採用が可能であれば、告知内容を一層から二層へと変更しようと考えていたのです。

そして、「SG」に片面二層50GBを採用すると最終的に確定したのが、昨晩7月22日(月)のこと。ということで、大急ぎでこの記事を書いているという次第です。

ただ、「仕様等は変更になる場合があります」という、まだ仕様は確定していないというアナウンスを、僕が前回の記事で書き忘れてしまい、皆さんをお騒がせしてしまったのは事実です。結果的に、「WB・SGともに一層で確定」ととれる記事を書いてしまいましたことを、心よりお詫び申し上げます。

●特典映像について

確かに両作品とも、DVD版は特典を満載して発売させていただきました。しかしながら、いずれの特典映像もHDではなく、すべてSD映像であることから、今回のBD版に必要なものなのだろうかという議論も、ディスク仕様問題と同様に重ねてきました。

前回の記事にも書きましたが、まだまだDVDとBDの制作・製造コストを比較すると大きな差があるのが現状です。そう考えると、本編ディスクにプラスしてSD映像を収録した特典ディスクを追加することで、追加ディスクの制作・製造費、パッケージの製造費がさらに上乗せになり、商品の価格が上がってしまうことになります。

中・高生から年配の方々にいたる幅広い年代層のファンの方々が、この商品に限らず、BDという新しいメディアの敷居を高く感じてしまう事態は避けたい、という結論に至りました。BDという最高の器が、パッケージソフトの売り上げを縮小させてしまうようなことは、パッケージソフト文化を牽引してきた我々としては、あってはならないと考えているのです。

●最後に

制作/製作サイドの意見を代表してあらためて書かせていただきますが、我々はDVDを制作/製作した時と同様に、最高のスペックのBDバージョンで、最高の「WB」「SG」体験をお届けしたいと考えています。そのため、「WB」では片面一層25GB、「SG」では片面二層50GBの、ディスクが持てる容量をいっぱいに生かし、何よりも重要なコンテンツである映画本編をハイクオリティなものとして収録することを、最優先事項とさせていただきました。

また、洋画タイトルに追従するような青いプラスティックケースではなく、BDのために新たに形状からデザインを行った、オール紙製のエコパッケージを今回は採用しています。ファンの皆さんの手元に届いた時に、パッケージの手触りやデザインでも、映画への、BDへの期待感を高めていただけるような、他に例を見ないものが仕上がりつつありますので、こちらにもぜひご注目いただければと思っています。

結果的には、今回もまた、合い言葉のように【採算度外視】になりつつありますが・・・まだまだ手探りなBDの制作環境の中、よりよい画質・音質を目指して、日々テストにテストを重ねている今日この頃、です。「WB」のDVDから一貫して矢口作品に関わり続けている我々BDスタッフ一同、夏バテという言葉すら忘れて?頑張っています。

最後になりますが、10月24日のBlu-ray Disc版「WB」「SG」のリリースを、皆さんどうぞご期待下さい!

長文になりましたが、最後までお読み下さり、本当にありがとうございました。

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WATER BOYS & SWING GIRLS、Blu-rayで「ただいま!」 [Blu-ray]

さーて、やっと情報解禁日!を迎えたので
皆さんにもビッグニュースをお伝えできますね。

お待たせしました!
あの「ウォーターボーイズ」と「スウィングガールズ」が、
ついにブルーレイディスクになって、10/24に帰って来ます!
ここしばらく、この仕事に専念しておりましたー!

BD_water.jpg

まずは「ウォーターボーイズ」からご紹介。

●フィルムの粒状感(グレイン)を1フレームずつ調整し、
 よりシャープで美しい映像を実現した、デジタルリマスター作業を敢行。
 これを、MPEG4 AVC(H.264)方式で丁寧にエンコードをかけています。

●劇場公開オリジナルの2.0chドルビーサラウンド音声を、
 非圧縮のリニアPCM音声で収録。
 さらに、リミックスした5.1chサラウンド音声を、
 BDならではのドルビーTrueHD音声で収録!

 ちなみに、ドルビーTrueHD音声は、
 一度圧縮(=エンコード)してディスクに収録した音声を、
 オリジナルと同じクオリティに展開(=デコード)して
 再生させるというフォーマット。
 音声データを小さくできる分、映像にデータを割り当てられるので、
 より高品質なディスクにすることができるわけです。

 今回のBDでは、オリジナルに敬意を表して、
 劇場オリジナルのドルビーSR音声を非圧縮リニアPCMにて収録、
 リミックス音声をドルビーTrueHD音声で収録、としています。

●本編再生中でもメニュー操作が可能な、
 BDならではのポップアップメニューを採用。
 音声・字幕やチャプターなどを操作することが可能です。

●特典は特報・予告・テレビCMに加え、
 矢口監督の新作「ハッピーフライト」の特報映像を収録。

●パッケージも凝ってしまいました!
 ブルーレイでよくある青いプラスティックケースではなく、
 このディスクのために企画考案された、外箱つきの特製紙パッケージでの登場です。
 (この特製パッケージは初回生産分限定につき、お求めはお早めに!)
 しかも、オールカラーのブックレットも付属しています!

ということで、より美麗でダイナミックな映像と音響で、
「ウォーターボーイズ」が生まれ変わります!

BD_swing.jpg

そして「スウィングガールズ」はさらに大変なことに!

●何と!矢口監督、ブルーレイ版のために、
 新たにテレシネをやり直してしまいました!!
 映像のダイナミックレンジが拡大!暗部のディテールがはっきりし、
 さらには発色もよりクリアになったニューマスターでの登場です!
 こちらもMPEG4 AVC(H.264)方式でじっくりエンコード中です。

●劇場公開オリジナルの5.1chドルビーサラウンド音声を、
 非圧縮のリニアPCM音声と、さらにドルビーTrueHD音声でも収録!
 さてさて、ブラスの音色がDVD以上にきらびやかなリニアPCM音声と、
 その忠実な音の再現性を誇るTrueHD音声を、
 対応アンプをお持ちの方、ぜひ聞き比べてみて下さいね。

●本編再生中でもメニュー操作が可能な、
 BDならではのポップアップメニューを採用。
 音声・字幕やチャプターなどを操作することが可能です。

●特典は特報・予告・テレビCMに加え、
 矢口監督の新作「ハッピーフライト」の特報映像を収録。

●パッケージも「ウォーターボーイズ」同様に、
 外箱つきの特製紙パッケージを採用しました。
 こちらもオールカラーのブックレットが付属しています。

ということで、こちらもニューマスター映像と、
DVDのdts音声を凌ぐ迫力の演奏でガールズたちが帰って来ます!

さてさて、ブルーレイディスク版と聞いて、
気になるのは価格、かと思いますが・・・
両作品とも、¥4935(税込)でのリリースです!

実は、上記のようなシンプルな内容であっても、
ブルーレイディスクの制作・製造コストは、
まだまだ高くついてしまう現状があります。

いちど、それぞれのDVDスタンダードエディションを、
そっくりそのままブルーレイで作り直すとしたら、
いったいいくらかかるのかという見積りをとってみましたが
・・・あまりの数字のケタの多さに、気を失いかけました(汗

しかし、今回はブルーレイ版ということで、
リマスターや新規テレシネを行ったり、
特製紙パッケージ仕様と採用するなどしつつも、
ワールドワイドで収支がとれる洋画と同じ価格で、
あえてリリースをさせていただくことになりました。

これらの作品を機に、
HD映像に、そしてリニアPCMなどのHDオーディオに、
ブルーレイが本気で取り組むとどんなクオリティになってしまうのか、
地デジやBSデジタルよりも美しい映像や音声ってどんなものなのかなど、
ブルーレイの実力を皆さんに知ってもらいたいと思うのです。

ということで、まずは速報ベースでのご紹介でした。
こうご期待!です。





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