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ナイトメア・ビフォア・クリスマス〜3D映画の秘密 [MOVIE]

「メディシネマ」なんて言いながら、全然映画のことを書いていないことにふと気づいてしまった(苦笑)。これでは看板に偽りありまくりので、最近印象に残った映画のことなど。

ティム・バートンがプロデューサーを務めた、立体アニメーション映画の傑作「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」。ハロウィンタウンという世界に住むジャック・スケリントンが、ふとしたはずみで違う世界・クリスマスタウンを垣間みて、その素晴らしさに感動。自分もサンタクロースになりたい!と思ったことから起こる大騒ぎ・・・という、ダークなのにキュートなミュージカル・ファンタジーで、1994年の公開以来、世代を超えて愛されるエヴァーグリーンな作品となっている。

さて、この映画が今年になってリバイバル公開された。しかもなんと、オリジナルは普通の劇場映画だったにも関わらず、このリバイバル版は"ディズニー・デジタル3D方式”で立体映画として公開されてしまったのだから、これはちょっとした事件と言ってもいいだろう。

どうして僕は「事件」なんて言葉を使ったのか?その説明をする前に、まずは立体映画のしくみについて少しお話したい。

これは当たり前のことだけれども、僕らの目は左右に2つ、やや離れて配置されている。両目で同じものを見ているつもりでも、左目は左側から対象物を見ており、右目は右側から対象物を見ていることになる。試しに、人差し指を顔の正面にあげて、左目だけで、そして右目だけで、その指を交互に見てみてほしい。それぞれの目からの見え方が微妙に異なっていることが実感できるはず。これらの視覚情報が脳内で組み合わされて、僕らは立体(=3D)を認識しているのだ。

立体映画は、このしくみを利用して撮影される。2台のカメラを並べて同時に撮影を行い、そして上映する際には2台の映写機を並べて同時に映像をスクリーンに投射するわけである。このとき、左右のカメラで撮影された映像を、左右の目それぞれに見せるために、僕らは立体メガネと呼ばれるフィルターを使用することになる。

1950年代の3D映画ブーム(ほとんどはホラーやSF映画という、見せ物小屋的なテイストのものばかりだったが、実はかのヒッチコックも「ダイヤルMを回せ!」を3D映画で撮影していた。DVDのジャケットにもなっている、襲われているグレース・ケリーが伸ばした手が、観客の目の前に飛び出す演出だったのである)では、主に赤と青のセロファンを使用した立体メガネが使われていたが、その後は色付きではない、偏光グラスという技術が開発され、よりクリアに立体映画を楽しむことができるようになった。

1980年代に再燃した3D映画ブーム(「13日の金曜日パート3」「ジョーズ3D」「スペースハンター3D」といった、やっぱり見せ物小屋的な作品ばかりだったけど)以降は主にこの技術が使われており、例えばディズニーランドの「キャプテンEO」や「ミクロアドベンチャー!」、ユニバーサルスタジオの「T2:3D」といったアトラクション、超巨大映像IMAXで上映されたジェームズ・キャメロン「タイタニックの秘密」などがこの方式だった。

さて、今回の「ナイトメア〜」も、上映自体は偏光グラスを用いた3D上映方式だった。しかし僕は先ほど、これを「事件」と書いた。それは、もともとは普通の劇場映画だった=3D映画として撮影されていないにもかかわらず、3D映画としてリバイバル公開された、という点にある。いったい、どうやって3D版を制作したというのだろう?いろいろ調べてみると、実に興味深い制作プロセスを知ることができた。

まずはオリジナルのフィルム映像を、ひとコマずつスキャンし、コンピュータに取り込んでいった。そして、映像の中の背景やキャラクターたちの配置をひとコマずつ解析して、新たに"右目から見た映像"を、なんとCGで作り出してしまったのだ(!)オリジナルと新作CG映像の質感をさらにコンピュータ処理で揃え、観客たちが生理的な違和感を感じないように加工し、これらを2台のフィルム映写機・・・ではなく、デジタルプロジェクターを使って上映した・・・というのが、「ナイトメア〜」3Dバージョンの秘密なのである。

公開劇場が大変に少ないため、3D版をご覧になられた方はさほど多くはないだろうが、もしあなたに幸運にもこのバージョンを観る機会があったなら、その見事な立体映像には驚かされるに違いない。僕自身もまさにその一人で、オリジナルが平面の映画だったとにわかに信じられないほど、見事な立体感・・・飛び出す、というよりも、スクリーンの向こうに本当にハロウィンタウンが広がっているかのような錯覚さえ覚えたほどで、より一層この映画が大好きになってしまった(笑)

もし、機会があれば、本当に、ぜひとも、この3Dバージョンをご覧になっていただきたい。この世界の3Dならではの楽しさを実感していただきたいと、僕は心から思っている次第。12月上旬までは上映は続きそうなので、未見の方は、ぜひ!ちなみに上映劇場は、浦安のシネマイクスピアリ・東京のワーナーマイカルシネマズ多摩センター・埼玉のワーナーマイカルシネマズ浦和美園の3館のみ。

今年は「スーパーマン リターンズ」も、一部劇場では3Dバージョンで公開されていた。こちらは全編ではなく、一部のスーパーマンのフライング・シークエンス、全20分ほどが3D映像だったという。こちらは残念ながら見逃してしまった・・・悔しいなあ!

さらに、2007年以降は3D映画が続々と準備されており・・・

3Dメガネをかけてはしゃいでいるように見えるこのオジさまたち、実は錚々たるメンバーでして・・・左から「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカス、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス、「ミクロキッズ」のランダル・クレイザー、「スパイキッズ」のロバート・ロドリゲス、そして「タイタニック」のジェームズ・キャメロン!この面々がこぞって、3D映画を準備しているのだ。

特にルーカスは、2007年に公開30周年を迎える「スター・ウォーズ」シリーズの3D版を、2007年から1年に1本ずつ公開していくことを計画していたりする(!)。そう思って見直してみると、実は「エピソード3」は明らかに3Dを意識したカットばかりで構成されていることに気づかされることだろう。

いったいどんな映像体験が僕らを待ち受けているのだろう?お楽しみはまだまだ続くのだ。

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス コレクターズ・エディション

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ダイヤルMを廻せ! 特別版

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ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密 3Dプレミアム

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2004/07/23
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SG症候群患者

わ~っ、わ~っ、新年の挨拶忘れてた~。
あ、あ、あけましてお、お、おめでとうございますぅ。
本年もよろしくお願いいたします。
by SG症候群患者 (2007-01-05 02:20) 

りんご

謹賀新年  松の内 明けてしまったケド
取り急ぎ ご挨拶でした☆
by りんご (2007-01-10 00:17) 

流星☆彡

ワーナーマイカルシネマズ多摩センターで観て、その後
【コレクターズ・エディション】も 購入しました♪
そんなスゴイ技術で 具現化されていたんですネ!
こんなに詳しい解説が読めて、とても感慨深い思いで居ります。(*^^)v
by 流星☆彡 (2007-06-08 13:49) 

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